■薄物素材の取り扱い
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■ シフォンなどの薄物素材の取り扱いについて

薄物素材と一口に言っても、色々な種類、質感があります。
一般的に薄物は難素材が多く、特に張りがなくテロテロとしたものは、
裁断するにも生地がずれてしまい、苦戦します。
シフォン・ジョーゼットなどといわれる素材がこれにあたります。
pp160-pp162 ユイットワンピース(廃盤)は、薄物素材が適していますが、
製作の際は、仕様や糸、針など、アレンジをして作業してください。
シフォンは主に薄地で透き通った柔らかな平織りの絹織物を指しますが、
最近では絹でなくポリエステルなどのシフォンも多く見られ、
絹よりも扱いやすく、おすすめです。



■ 裁断

できれば通常の素材と同じように、生地の上に型紙を置き、
重しを置いてそのまま裁断します。
使い慣れている場合はロータリーカッターを用いる方法もあります。
少し余談になりますが・・・下図のように、薄紙を挟んで
紙ごと裁断するという方法もありますが、あまりおすすめできません。
意外と裁断しにくい、ずれてしまいやすいといった事もありますが、
プロの裁断師は、素材によって鋏を使い分けています。
絹用の鋏で合成繊維を切ると、切れ味が悪くなります。
そのくらい鋏はデリケートだと考えて良いと思います。
鋏には、切る人のくせがつくため、プロであればあるほど、
鋏の貸し借りは絶対にしません。他人が握ればすぐにわかるのだそうです。
刃物にも鋼の硬さがあり、切る対象はそれに合ったものであるのが理想です。



■ 針と糸 印つけ

針は9番、糸は90〜60番を使用します。
印つけは生地に傷がつきやすいのでルレットは避け、切りじつけ(糸じつけ)で。
押さえ金は薄物専用押さえが便利です。
薄物専用押さえは、針穴のすぐ際まで生地を押さえる仕様になっています。
こうすることで生地が動かず、目飛びを防いで糸調子を安定させます。
同じく針が通る穴を小さくした薄物用針板(職業用ミシン)なども存在します。

■ アイロンのかけ方

基本的に熱に弱いのでハギレなどで
アイロンの温度を確認してからかけるようにします。
裾上げなどしにくいので、出来上がりラインに薄紙(コピー用紙でもOK)を
挟んで折り上げるときれいに仕上がります。



■ 縫いの始末

pp160-pp162 ユイットワンピース(廃盤)の場合、脇・裾の縫い代を1cmにします。
その上で、脇、パネル、袖下、袖つけは袋縫いをします。(上図参照)
まず外表で縫い代を4mmで縫い合わせ、縫い代を割ってから今度は
中表に生地を合わせ、5mmの縫い代で縫い合わせます。
縫い代端が完全に、中に隠れる状態になります。



裾、袖口は、完全三つ折り始末です。(わかりにくいですが上写真)
薄物の場合、縫い代も透けるため、できるだけ細くするのが望ましいと思われます。



■ 見返しに使う布について

見返しには、例えばユイットワンピースの場合、衿ぐりのシャープな直線も
デザインポイントになるため、ラインを安定させるために、やや張りのある
薄手の素材が適しています。他のアイテムの場合でも、適度に薄い、
張りのある素材が向いています。